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目次
- 税金滞納による倒産が急増している背景
- なぜ税金や社会保険料の滞納が増えているのか？
- 資金繰りを悪化させるその他の要因
- どうすれば税金や社会保険料の滞納を防げるのか？
- コロナ融資返済の影響と今後の見通し
- 最後に
今回は、税金や社会保険料の滞納による倒産が急増しているというニュースを取り上げ、その背景や対策について解説します。
特に、中小企業がなぜこうした状況に直面しているのか、そしてこれからどう対処すべきかを中心にお話ししていきます。
記事の最後には、今後の経営のために必要な対策についても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
税金滞納による倒産が急増している背景
まず、2024年1月から8月までに、税金や社会保険料の滞納が原因で倒産した企業が123件に達しており、これは過去最高のペースであることが確認されています。
前年同月比で127%の増加ということから、今年中に200件を超える可能性があると言われています。
特に注目すべきは、税金滞納といっても法人税や所得税だけでなく、社会保険料の滞納が多くのケースで影響している点です。
たとえば、法人税は赤字の場合でも7万円程度で済むことが多く、なんとか納付が可能なことが多いです。
しかし、社会保険料は、赤字であっても会社側が負担しなければならないため、資金繰りに影響を与えやすいのです。
さらに、社会保険料の負担が重く、たとえば年収400万円の従業員が10人いるとすると、会社側はその15%にあたる600万円を負担する必要があり、毎月50万円の支払いが発生します。
これが赤字企業にとっては非常に大きな負担となります。
また、消費税も赤字でも発生する税金の一つで、これも資金繰りを圧迫する原因となっています。
消費税には「前払い制度」というものがあり、決算時に払うべき税金を前もって3ヶ月ごとや半年ごとに支払わなければならないため、資金繰りがさらに厳しくなります。
前払いの負担が重くなると、企業はやむを得ず借入を増やすことになりますが、最近は金融機関も融資に慎重になっているため、さらに苦しい状況が続いています。
なぜ税金や社会保険料の滞納が増えているのか？
税金や社会保険料の滞納が増えている要因はいくつかあります。ここでは、主な理由について詳しく見ていきます。
1. コロナ融資の返済が始まった
一つ目の要因は、コロナ禍で中小企業に提供された「コロナ融資」の返済が本格的に始まったことです。
コロナ禍の影響で多くの企業が売上を大きく減少させる中、政府は緊急支援として無利子や低金利の融資を提供しました。
しかし、こうした融資はあくまで一時的な延命措置であり、返済期限が近づくと、多くの企業が資金繰りに苦しむことになります。
特に、借入額が大きかった企業ほど、その返済負担が大きく、これが原因で税金や社会保険料の支払いが滞るケースが増えています。
2. 物価上昇と人件費の高騰
最近の物価高騰も企業経営に影響を与えています。
原材料やエネルギーコストの上昇に加え、人件費の高騰も企業の負担となっています。
人材不足による賃金の引き上げや、労働環境の改善要求が企業にプレッシャーをかけており、経費削減が難しい状況です。
このような環境下で、経営資源を人件費や運営費に優先的に割り当てる必要が生じ、税金や社会保険料の支払いが後回しになるケースが増えています。
3. 金融機関の融資姿勢が厳しくなっている
もう一つの大きな要因として、金融機関の融資審査が厳しくなっていることが挙げられます。
コロナ禍の影響で一時的に融資が緩和されていたものの、現在は金融機関も慎重な姿勢をとっています。
特に中小企業に対しては、返済能力が不安視されることから、追加融資を断られるケースも増えています。
また、金融機関は「レピュテーションリスク（評判リスク）」にも敏感になっており、企業の評判やネット上の情報が融資審査に影響を与えるようになっています。
SNSやWebサイトでの評価が低いと、それが融資判断に直結するケースも増えているため、企業は注意が必要です。
資金繰りを悪化させるその他の要因
企業が直面している資金繰りの問題は、上記の要因に加えて、固定資産税や消費税の負担、従業員の給与から源泉徴収する所得税など、さまざまな税金が絡んでいます。
これらの税金はビジネスを成り立たせるための直接的なコストではないため、どうしても後回しにされがちです。
結果として、税金や社会保険料の滞納が増加し、それが原因で倒産に至るケースが増えています。
どうすれば税金や社会保険料の滞納を防げるのか？
では、企業が倒産に追い込まれる前にどのような対策を講じるべきでしょうか？いくつかの具体的な対策を紹介します。
1. 銀行との事前相談と融資の確保
まず第一に、資金繰りが厳しくなる前に、銀行に相談することが重要です。
資金が不足し始めてからではなく、余裕があるうちに銀行との関係を構築し、必要な場合に備えて融資を受ける準備をしておくことが不可欠です。
特に、業績が比較的安定している企業は、将来的なリスクに備えて手元資金を厚くすることが重要です。
融資を受けられる状況であれば、可能な限り早めに融資を確保し、資金繰りを安定させることが肝要です。
2. 業績が良いときに利益を繰り延べる
次に、業績が好調な時期には、利益を繰り延べることが重要です。
これは、将来的に経営が厳しくなった際に備え、利益を一定期間にわたって分散させることを意味します。
多くの専門家は「税金を払ってしまった方が手元に資金が残る」と主張しますが、将来的にどのような経済状況が訪れるか分からないため、業績が良いときに税金をできるだけ抑え、資金を手元に残しておく方が賢明です。
3. 毎月少しずつ納税するシステムを導入する
税金や社会保険料の一括払いが資金繰りを悪化させる原因の一つです。
これを防ぐためには、毎月少しずつ納税するシステムを導入するのも一つの手です。
たとえば、消費税や源泉徴収税などは、半年や四半期ごとに一括で支払うことが一般的ですが、これを毎月少しずつ支払うことで、負担を分散させることが可能です。
また、税務署や年金事務所は、滞納が発生すると迅速に差し押さえなどの措置を講じるため、滞納を防ぐことが経営の安定に直結します。
税金や社会保険料の支払いスケジュールを見直し、前倒しで少しずつ支払うことで、資金繰りを安定させることができます。
コロナ融資返済の影響と今後の見通し
2020年から2021年にかけて多くの企業が受けたコロナ融資の返済が本格化しており、これが資金繰りを圧迫している大きな要因です。
しかし、コロナ融資はあくまで一時的な延命措置に過ぎず、本来であればコロナ後に経営を立て直すための準備を進めるべきでした。
コロナ禍が終息した現在でも業績が回復していない企業は、倒産リスクが高まっていると言えます。
特に、今後は物価高や人件費の上昇が続く中で、企業がどのようにコスト削減を進めるかが鍵となります。経費削減だけでなく、事業の効率化や新たな収益源の確保が求められるでしょう。
最後に
税金や社会保険料の滞納は、中小企業にとって大きな負担となり得ます。
しかし、適切な対策を講じることで、滞納による倒産リスクを減らすことが可能です。
銀行との早期相談や利益の繰り延べ、毎月の少額納税など、資金繰りを安定させるための施策を講じることで、倒産リスクを回避できる可能性が高まります。
経営者の皆さんには、目先の資金繰りだけでなく、長期的な視点での資金計画をしっかりと立てることが求められます。
これからの厳しい経済環境の中で、生き残るためには、戦略的な経営判断と早めの行動が不可欠です。
